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「こんな事までしてもらって、本当にありがとうございます。」
亜沙美さんのお母さんは、僕の手をとり深々と挨拶をしてくれた。目に一杯の涙を浮かべて。
プランナーとして、僕が2人に出来る最後の事。それは、亜沙美さんが天国でも、花嫁としていられるように、だった。
花を全てカラーに変えた。亜沙美さんの好きな花。
ウェディングドレスを着て、天国へ行ってもらおうとドレスを用意した。
式当日、亜沙美さんが着ていた、最高に似合っていた姿。
手にはもちろん、式で使ったカラーのブーケを持たしている。
純真 無垢なカラー。棺の中にいる新婦は、カラーの花言葉どおりになった。
“夢のように美しい”
葬儀が終わった頃、僕はふと思った。
感情移入のしすぎで、プランナーとしての仕事を全うできたのか?何より、2人にとっていいプランナーだったのか?
多分、答えはすぐに出てこない。ただ、時間という魔法が、この答えを解いてくれるだろう。その答えを残し、1人でこの場を離れようとしたその時、どこからか僕を呼び止める声がした。
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