「お父さん…」①

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翌日の朝、日課の散歩に出ていた祖父は、暴走してきた車に跳ねられ死亡した。居眠り運転だった… 2回続けての葬儀の場に、不穏な気配が漂い始めていた。 身内の一部に、祖母も祖父も、彼が呼び掛けた翌日に死亡したと言うのを知ってる者達が居たから… 更に1ヶ月が過ぎた。 もはや両親にとって、彼は恐怖の根源にすぎなかった。 そして、その日が来た。 「お母さん…」 もはや両親に喜びと言う感情は無かった。ただ、果てしない恐怖だけ… 翌日は、母親は早朝から慎重に行動を取った。 祖母と祖父が、子供に呼び掛けられた翌日に死亡しているのだから当然だろう。しかし、その用心も無意味であった。 朝ご飯の準備で台所に立とうとした母親は足を滑らせてしまったのだ。 倒れた拍子に後頭部をテーブルの角で強打。 頭蓋骨陥没と同時に頸椎骨折、ほぼ即死だった。 三回目の葬儀。しかし訪れる弔問客は激減した。 それはそうだろう、誰だって呪われた家を訪れたくはない… ……父親と子供の恐怖の生活。しかし、子供を預かってやろうと言う親戚すら居ない。誰でも呪われた子供には近付きたくないのは当然だ…… ついにその日が来た。彼は父親の顔をじっと見詰め、小さい、しかしはっきりした口調で呟いた。 「お父さん…」 その夜、父親は一室に閉じ籠り、頭から布団を被って時間を過ごした。 一時間…また一時間… どれだけの時間が過ぎただろう… カーテンの隙間から日光が入り始めても、父親はまだ身動きをしない。 さらに時が過ぎ、カーテンの隙間から日が差し込まなくなった頃、窓の外側が、やけに騒々しい事に気付いた。 カーテンの隙間から外を伺うと… 隣家の主人が亡くなっていたのである…… 怖っ💦💦
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