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きらきら輝く雫を見ると僕はムッとした。
ひどい被害妄想だと分かってはいたが、何だか今の僕をまるであざけ笑うかのように思えてきて不快だった。
本当僕の性根は腐りきってしまったのだろうか。
でもそんなことはこれ以上気にする必要はない。
無駄なことを考えても仕方がないから。
時計は二時を回っていた。
僕は何だかんだ理由をつけては、出掛けることに躊躇していた。
引きこもりがちだった僕はよく出掛けようと意気込んだはいいが、準備を進めていくうちに段々外出が億劫になってくることがよくある。
だが今日はそんなことを遥かに超越した、何か分厚く重みのあるものが僕の体を押し潰そうとしているように感じ、更に行動を鈍らせているようだった。
頭では理解していた。
しかし脳から発生された体各所への命令は、そのどこかで伝達されるのを拒んでいるようだった。
きっと、きっと僕は執着してしまっている。
あんなにも反吐が出るほど嫌いな世の中に、自分自身に執着してしまっているんだ。
情けないような、そうでないような。
自分のことを人間だと認知してきたことはなかったが、こういった姿が人間なんだと理解した気がした。
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