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日光は思いの外強かった。
ドアを開けると思わず眩しくて手をかざしてしまうくらいだ。
やっぱり外は少し蒸し暑いな。
昨日まで降り続いた雨は、この強い日ざしを浴び一斉に空へ還ろうとしている。
そのせいか、外はむせ返る程湿度が高かった。
僕はさっさとドアを閉め、鍵をかけた。
別に鍵をかける必要がないくらい何もない部屋だから、普段出掛ける際に鍵をかけることは少ない僕だ。
だけど今日はこの僕自身の決意が揺るがないように、そんな意味をこめちいるかのように無意識に鍵をかけた。
鍵を左手に握り締め、小さな声で『行くか。』と呟いた。
商店街は久々に顔を出した太陽を待ちわびたかのように人に賑わっていた。
買い物袋をたくさん手にぶら下げている主婦、まがった腰に手を添えのそりのそりと歩く老婆。
道に立ち止まり世間話に花を咲かせるおばさんに、平日なのに昼間ぶらつく謎のおじさん。
サラリーマンの姿もちらほらいるな。
こんな人で賑わう商店街を見るのは僕も久々だ。
こんなに賑わっているのに、誰一人僕がこれからすることを知らない。
僕がこれからどうなるのかを、この人達は知らないんだ。
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