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その言葉に誰もが息を呑んだ。自らの組織が誇るNo,1それも英雄とまで呼ばれている存在を殺す。その害在って、利は無いとも呼べる宣言がまさか幹部から進言されるとは思ってもみない。
「本気か……? プレジデント」
「ええ。私は本気です。彼は災厄を齎す片翼の悪魔だ。そう自信を持って宣言できる」
「ならば、良かろう。誰か、この大空(うつ)け者を牢へ放り込め!」
即座に部屋の外に配備されていた手錬のガードマンが押し入るや否や、即座にプレジデントを拘束した。しかし、プレジデントの顔は安寧を得たかのように穏やかなものだった。そして、その事実を知るものはいない。
「確かに言いましたよ。私は彼を必要害だということをね」
「ほざけ、小僧。小童如きが知った口を」
プレジデントは微笑を口元に描きながら牢へ拘束を余儀なくされた。
☆
『カツン、カツン』とハイヒールの甲高い音を牢が連なる通路に響かせながら、幹部の一人【レイナ・バッフィーネ】はある男に面会に来た。
「やあ、レイナ。私に何かようかね?」
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