†prologue†

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 レイナは驚いた。幹部……いや、組織の者がモンスターの任務を見学などという情報は、ラグナロク創立以来、一度も出たことがないのだ。それを目の前の男は、軽々と行った、と宣言した。 「私も当初は乗り気じゃなかった。しかし、老人達に刃向かえば、今の私のような状態になるのは目に見えていた。だから、気乗りじゃない体を引き摺り戦地まで足を動かした。そこで、私の警備につくことになったのが“英雄”だった。  まず、私が恐怖を覚えたのは、彼の瞳だった。まるで、人形のような銀一色の瞳に私は身震いを感じたね。何が恐いかというと、感情が無い。私はこのような仕事柄だから、殺気というのは感じなれている。  だが、あの瞳ほど恐ろしいと感じたものはなかった。殺気は愚か、人としての生気というものが全くもってないのだ。  そして一度、火が点くや否や暴走とも思える豹変をするモンスターを目にして私の心は、恐怖と言う名の大蛇に巻きつかれていたのだ……。  今だから言える。私は、自分の足元にあのような怪物を住まわせて置く事の方が恐くて、心が安らぐ暇がない。だから、私はチャイナに行く方が安寧を得られるのだよ」
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