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基哉達が伯爵の城に到着した頃には、辺りは既に真っ黒になっていた。
城は、基哉も良く知っている大阪城によく似ていた。あの城を二回りくらい狭めたのが、伯爵の城だった。ご丁寧なことに、屋根にはシャチホコまでついている
「着~いたっと♪」
美伽はやけにはしゃいでいた。
「ぼく、運がいいね。いつもならお城に着く前に、結構戦うことになるんだけど」
「そうなんだ」
「うん」
入口には、虎の形の大きなノッカーが付いていた。美伽はそれをガンガン鳴らす
「は~くしゃく!あ~そ~ぼ!」
―――子供か!
実際子供なのだが、基哉はそう思った
「は~い!」
中から低い声で返事がした。ドアが開く
「!?」
基哉が見たもの。それは、髪の毛だった。
髪の毛が宙を自在に動き回っていた。それがドアを開いたのだろう
「久しぶり、伯爵!」
「あぁ、美伽ちゃんじゃない。もう任務は終わったの?」
どう見ても髪の毛から声が聞こえるように感じる。
伯爵の口調は、まるで
―――オカマ!?
「あらぁ?こちらの素敵な彼は?奴等じゃないわよね?」
「うん、違うよ。ぼくはね、迷い込んじゃったんだって。しかも奴等に傷つけられちゃったんだよ。ね~?」
「あ、はい、そうなんです」
「あら、それは大変ねぇ」
実際に喋ってみると、声は髪の毛の奥の方から聞こえた。奥から大声で喋っているのだろうか
「ま、取りあえず中に入りなさいよ」
基哉と美伽は髪の毛に体を巻かれて、中に引きずり込まれていった。
美伽ははしゃいでいる
基哉は…気色が悪いと思った。彼は髪の毛に巻かれたことは、無かった
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