殺し合い

3/4
前へ
/22ページ
次へ
二体の化け物―――片方は右手と左足がなく、手の代わりに槍が、足の代わりに三又の矛が装着してある。もう片方は、両腕に青龍刀、そして腹に剣山が大きくなったような針の山がついている―――が、一斉にこちらに向かってくる。どうやら美伽を一番強いと認識したらしい 「万が一もあるから、できるだけ警戒しておいて」 美伽は血の付いた日本刀を放り投げると、小太刀を両手に持って、そいつらを迎撃した。 キィン、キィン! 火花がなるような打ち合い。間合いの短い美伽は、次第に後退せざるをえなくなった。 何かできることは無いか、と基哉は状況を確認した。装備はナイフ数本と、金属バットだけだ。 基哉は化け物の後ろに回り込むと、美伽との打ち合いに夢中になっているやつの首にナイフを投げつけた。ダーツをやったことがある基哉は、ダーツのフォームでそれを投げた。 ヒュ~ン↓ 綺麗な放物線を描いて、ナイフは盆の窪に突き刺さった。 化け物の注意が一瞬こちらにむく。 美伽はそれを見逃さなかった。素早く懐に入り込むと、小太刀を交差させて、首を、切った。 美伽は基哉の方に向くと 「ナイスアシスト。あとは任せて」 一対一ならば負けない自信が彼女にはあった 残りは腹に針山がある方だった。 今度は先ほどの作戦は通じない。懐に入ったら、串刺しにされてしまう。 美伽は小太刀を捨てた。 今度は、相手も装着している青龍刀を手に持つ 間合いを離れながら、首を刎ねる。そのためには小太刀は不向きだった。 化け物が突進してきて、間合いがつまる。 右手の青龍刀が振りかざされて、落とされる。美伽はそれをバックステップでヒラリと躱して、薙ぐように青龍刀を振る。化け物はそれを左手の青龍刀で受けて、再び右で打ち込んできた。美伽は抑え込まれた青龍刀を支点にして左にクルッと回りそれを避け、間合いをとる。 息もつかない展開だった。基哉はその戦いに見とれていた。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加