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―――見てるだけじゃ、ダメだ
基哉はそう思い至ると、残りのナイフを化け物に投げつけた
化け物の背中にいくつかのナイフが刺さる。しかし、先ほどとは違い、化け物は美伽から注意をそらしたりはしなかった。
―――くそっ!
基哉は鉄バールを持つと、狙いを青龍刀の結合部に変えて殴りかかった。
結合部の太いボルトはびくともしない。それでもあきらめずに、基哉はそれを打ち続けた。前では美伽が応戦している。女の子に戦わせて自分は何もせずに守られる。男として、基哉はそんな体たらくは嫌だった。
すると
ガキッ!
という、金属が擦れる、嫌な音がした。
―――もうちょいだ
基哉は一心不乱にそれを殴った。
そしてその時が来た。
ガキッ。ギギギギ…バキッ!
折れ曲がったボルトが床に落ちる。
―――やった…
そう思った矢先に、化け物が美伽を突き放し、こちらを向いて基哉をにらんできた。
すの目の冷たさに、腰が抜けた基哉は、へたりこんで動けなくなった。
化け物はそんな基哉にとどめをさすべく、青龍刀を振りかざした。
―――殺られる…
基哉は覚悟を決めた。
が
シュッ。
「バットエンドにはまだ早いわよ」
振り落とされたのは青龍刀では無く、首だった。プシュウ、と断面から血が吹き出し、基哉を赤くそめる。
「やった…んだよね?」
呆然となりながらも、基哉は美伽に尋ねる
「うん。私たちの優勝よ♪」
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