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―――どうしてこんなことになっちまったんだ!
橋田基哉は嘆いていた。
彼は先ほどこの村に迷い込んだばかりだった。今は空き家に隠れている。理由はもちろんある。基哉は理由も無しに行動するような愚か者ではない。
―――あいつらは一体…なんなんだ!?
基哉はその事を思い出す。
彼が空き家に隠れることとなった原因。
そいつらは、人間ではなかった
数時間前、基哉は森の中を彷徨っていた。
高校の授業の一環として、ハイキングに来ていたのだが、刺激を求める男である基哉は、一人普通のコースとは違うルートを歩くことにしたのだ。それが全ての間違いの元になるとも知らずに。
―――おかしい
彼がそう思ったのは、歩き出してから30分程経ったあたりからだった。話しによれば15分で下に到着するらしいのに、彼は道の先に光すら見つけられない。
―――迷ったか?
彼は携帯を見てみた。
非情な事に、電波は0だった。
取りあえず彼は歩いて見る事にした。普通迷ったのであれば、その場でじっとしているのが一番良いのだが、彼はそんなこと知らない。
そうして泥沼にハマった彼は、『四季神園』に迷い込んでしまったのだった。
―――なんだここ?
村は不穏な気配に包まれていた。入口にはボロボロの看板『ようこそ四季神園へ』と辛うじて読める。
その奥の方には、何やら大層な城が見えた。村という場所にはあまりにもそぐわない城。後に基哉はこの城に入っていくことになるのだが、それはまだ後の話しである。
彼は奥に進んでみることにした。下に通じている無線か何かを貸して貰いたかったのだ。
―――廃屋ばかりだな
真っ直ぐに伸びる大通りを歩いていた基哉は左右にある家屋を見てそう思った。
それは先ほどから感じていた事なのだが、この村には人の気配がない。隠しているのではなく、本当に無人の村なのかもしれない、と彼は思った。
そして、彼は目撃してしまった。怪物同士の…喧嘩を。
いや、喧嘩などとなまぬるいものではない。
それは怪物同士の殺し会いだった
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