化け物

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化け物は二匹いた 両方ともたしかに人の形をしているが、片方は…目がない!? 眼球のあるべき所には、ぽっかりと穴があいていた。 しかも片手は千切れて、直にナイフのような鋭い刃物が装着されている。 もう片方は鼻が無かった。まっ平らなのだ。削げ落とされたように平たく、そして無惨な傷跡がある。 そちらの方は目がある。その瞳は今まで基哉が見たこともない程虚ろな目だった。生きている人間の目ではない。 足には義足のようなものがつけられているが、明らかに殺傷能力を重視したものだ。すねのあたりに日本刀が当てられている。踵には大きな針がついていた。指の代わりに小型の丸鋸が五本ついていて、それがギシギシいっていた ―――人間兵器 彼はそんなことを思った。 戦いが始まった 目無しの化け物は 右手を突き出しながら突進した。 鼻無しはすんでの所でそれを躱した。しかし左腕をナイフによって抉られていた。 痛みによる叫びなどは一切挙げなかった。挙げたのは憎しみの籠った、憎悪の叫び。 鼻無しは飛び出した。 カポエラのような動きで上段→中段→下段と蹴りかかり、体勢の崩れた所に喉元への踏み付け。そして丸鋸をあてがう。 丸鋸は回っている。電源も何もあったものではないのに、丸鋸の回転は次第に速度を増していった。 目無しは必死にそれを振りほどこうと足を掴むが、生の左手は日本刀に触れて、今にも指が取れそうなぐらいに切られていた。言葉通り皮一枚繋がっている。 目無しは最後の抵抗に出た。右手のナイフで何度も丸鋸を叩く。最初は弾かれていたが、二発、三発と殴るうちに、まず親指の丸鋸が壊れた。人差し指、中指をやっとのことで壊した時には、目無しの首は切断されていた。 基哉は気がついた。血が一滴も出ていない。肉を抉られても、刻まれても、彼らは血を流していなかった
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