ゲーム

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基哉は鷹嶋美伽と歩いていた。背は基哉の方が15センチくらいは高いだろうか。並んでいると、まるでカップルみたいだった。 向かうは伯爵がいる城。顔が利く、と自慢した美伽に頼んでもらい、ワクチンをもらうつもりだ。 道中、基哉は今まで溜めていた疑問を美伽にぶつけた 「ねえ、聞いてもいい」 「なぁに?」 「さっき言ってた『ゲーム』って、何のこと?」 美伽は目をクリッ、と動かしてから、答える 「え~と、話すと長くなるかもよ?ま、いいか、ぼく暇だもんね」 ―――いい加減ぼく、は止めてくれ 「さっきも言ったけど、主催者は伯爵なの。村の人達に殺し合わせて、生き残った人を、治療してあげるの」 「治療?そういえばあの人達は?」 「元は人間だったの。でも、あ!ここからは機密事項だから、秘密ね。あの人達は、政府の陰謀の犠牲者なんだ」 「陰謀?政府って今の日本だよね?」 「ん~ん、違うよ。政府は政府でも、第二次世界大戦の時の残党みたいな。その人達が文字通りの『生物兵器』を作るために、山奥の未開の地に住んでる人達に対して、ある薬をまいたんだ。ある時は万能薬として。ある時は井戸に落としたりして」 「薬…」 「人間を、兵器に変える薬よ」 「そんな薬があるのか」 「うん。脳を破壊して、臓器を強制的に動かす、つまり、考えられないままに生かされている、の。その薬の名前は『アライブ』生かされる、っていう意味があるんだって」 「アライブ…」 「それを摂取した人は、動く物を破壊するの。どんなものでも、関係なしにね」 「そんなやつらが外に出たら…」 「大変。だから私たちがいるの」 「ハンター、ってこと?」 「そう。私たちは、その残党政府に雇われた、殺し屋なの。私たちの任務は、被験者達が外に出たり、殺し合わなかった場合に彼らを仕留めること」 「ちょっとまって。それじゃゲームの意味が無いんじゃ…」 「ああ、うん、そうだね。でもこれは遊びの前に実験だから、元々アンフェアなの」 「…」 基哉は戦慄した。政府の残党?『アライブ』? まるで現実感がない。リアルでない 信じがたかった。 信じがたかったが、先ほどのあいつらを見た基哉は、信じるしかなかった 「そういえば、伯爵が主催者って言ってたけど、アライブを作ったりしたのも彼なの?」 「違~うよ。伯爵は残党に踊らされてる大富豪さんなの」 基哉は伯爵に同情した
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