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兄貴は、たまに家に来て、義父と酒を酌み交わした。 僕は、勉強のため、あまり会話に入ることは無く、自分の部屋にいることが多かったが、小休止の際に会話をすると、本当の親子のように感じた。 兄貴は、義父に仕事の相談したり、人生論などを語りあっていた。小休止を終え、僕は、『んじゃ、僕、部屋に戻るね。』と兄貴と義父に言った。 兄貴は、ちょっと虚ろになった目をしながら、 『お~。頑張れよ。』と僕にエールを送ってくれた。 たまに家に来た時に、兄貴に展示場の女性の話を聞くことはなかった。 ドテラを羽織り、椅子に座って、窓から空を眺めた。星たちがより一層輝きを放ち、冬の訪れを感じさせていた。
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