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娘の可愛らしさに感動してたが、帝王切開で出産した妻はまだ、縫合しているのか出て来ない。
心配して待つこと30分。ようやく妻が手術室から出て来た。まだ、麻酔が残っているようで、目が虚ろだった。『頑張ったね』との私の言葉に妻は、
『うんっ』と応えるのが精一杯であった。
しばらくして、妻の麻酔も切れ、話が出来た。
『本当にお疲れ様。』との私の言葉に妻は、
『いえいえ。』と返し、
『ところで名前は?』と聞かれ、
『蓮華(れんか)ってどう?』と妻に聞いた。
『うん。いいと思う。』と言ってくれた。
『みんなから、れんげちゃん?って聞かれそう。』と続けて妻は、にこやかに言った。
妻が展示場を訪れてから、既に十二年。結婚して七年目を迎え、私は、32歳になっていた。
何回となく、迎える春だったが、こんなに爽やか春はなかった。このまま幸せな時が流れてくれることを祈った。水の流れるごとく、永遠に…。
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