出会い

5/6
前へ
/49ページ
次へ
その後、一組のお客も来ることが無く、昼になった。お客ではないが、凹んだ先輩が予想通り帰って来た。 『あ~あっ、宝くじ当たらないかね~。』と三十後半の年齢を迎えて、独身の先輩はぼやく。私は、それを聞き流し、コンビニ弁当を食べていた。先輩は、カップラーメン。 『いいな~。唐揚げ弁当。所得の違いを感じる。』と人の弁当を羨む先輩。 所得は、確実に先輩の方が高い。あなたは、出費が多いのだ。と心の中で突っ込んだ。 結局、この日展示場に来場したお客は、あの女性を含め、三組であった。言うまでも無く、全部はずれであった。 一日の仕事を終え、充実感の無いまま、帰宅した。何も無い閑散とした部屋に入り、蛙の置物が乗っている、テレビの電源を入れた。歌番組を探すが、今日はやって無いようだ。新聞をとってないので、いつも適当にチャンネルを替えるのが習慣となっていた。 見たい番組が無かったので、チャンネルをNHKに合せ、コンビニ弁当をレンジで温めた。 NHKの受信料は、当然払っていない。でも私は、結構見ていた。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加