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受験勉強のため、夏休みも無く、僕は、机に向かっていた。兄貴が働いたお金と義父母が出してくれるお金で、僕は大学に行かせてもらえる。兄貴の思いに応えようと、高校に入ってから、がむしゃらに勉強した。その甲斐もあり、日本で一番偏差値の高い、T大 医学部の合格圏内に僕はいた。塾には通わず、何とかここまでこれた。兄貴と義父母は、塾に行くよう薦めたが、断った。 彼の自力で受かってみせるとの決意の現れは、机に向かっている時間の長さでわかる。一日平均十時間にも及んでいた。 彼が、国立のT大医学部を目指すのは、一つに金銭面、もう一つに、両親が早くに亡くなった理由を探したかったからである。日本で一番の所だったら、何かわかるかも知れないと思っていた。
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