ヒストリー

2/14
51797人が本棚に入れています
本棚に追加
/252ページ
「グスッ、ヒッグ、ああ、スッ、グスッ」 …………………… ……………… ………… ……。 「本当に感動的な話だったよね~!」 いまだ、目を潤ませながら、涼本が感想をもらす。 「ふん! 惑わされんなよ。あんなのは感動させる、常套手段だ」 映画鑑賞後、俺たちは昼飯を食べに近くのレストランに入って、お互いに、今みた映画の感想を言い合っていた。 「最初に日常を描いて、その後の主役かヒロインの突然の事故や病気。だが、最後には奇跡的に助かる。ああ、使い古された技法に乾杯だ」 俺は、自分の水が入ったグラスを持ち上げると、涼本のグラスに乾杯した。 「なに言ってるのよ? 一番泣いてたの山内君じゃない! 私、凄い恥ずかしかったんだから」 呆れた目をする涼本。 あれ? 何か俺……いたい子? 「うるさい! 仕方ないだろ? ベタだからこそ、それが良い、ってやつだ」 照れ隠しに、グラスの水を一気に呷る。 そんな俺を、楽しそうに見つめ、涼本が口を開く。 「あはは、山内君は純粋だねー! でも、良かったよ。山内君にもちゃんと涙があって」 こいつにだけは純粋とか言われたくない。 「バカ! お前は俺をどんな目で見てたんだ? 秋人君と言えば、豊かな感性とおがくずのような涙腺で有名だろ?」 二杯目の水を水差しから継ぎながら答える。 「うそ! 豊かな、と言うよりは皮肉った感性だよ。後、おがくずは水捌けが良いんだよ? 脆い涙腺の比喩には適切じゃないよ」 クソッ! 揚げ足とりめ! ああ言えばこう言いやがって。 「でも山内君が恋愛もので号泣するのは、意外だったな。ほんとに色恋には、興味ないのかと思ってたし」 「水近みたいな事を言うな。ったく! どいつもこいつも、俺は硬派なだけだっつの」 言って二杯目のお冷やもグビグビっと飲み干す。 「じゃあ、山内君の恋話を聞かせてよ」 見ると、グラス越しに興味津津な表情のプリンセスが。 「何でそんな事を話さなければいかんのだ!」 口では否定するものの、今まで誰にも話さなかった柑奈との事を涼本になら良いか。っとも思ってしまった。 何でだろ? 「だって硬派なだけで、恋愛否定野郎じゃないんでしょ? だったらここで語って、証明してよ」
/252ページ

最初のコメントを投稿しよう!