ダイアモンド

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「何にする?蜜」 「なんでもいいけど、簡単なやつで。かなりなまってるから」 キュイン、と音がなる。なまっている、と蜜は言っているが、何ヵ月も触っていない音ではないとわかる。 こっそり家で練習していたのだろう。 ライブをやると決めてからか、2年前のあの日からなのかはわからないが、蜜の心が音楽から離れていなかったことが嬉しかった。 「とりあえずビートルズあたりいっとく?」 「おっけー」 狭い部室にギターの音だけが響く。 重なりあい、奏であう。 その喜びをかみしめるように、練習は深夜まで続いた。 そして見回りにきた用務員さんに叱られた。   「真っ暗だな。茜家に電話しんくていいの」 「どうせ心配なんてしねーよ、あいつら」  
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