愛ノ唄

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重苦しい空気が流れる。ほんの僅かな時間が、何時間にも感じられた。 はっきり言ってしまえば、茜とは恋人としてお付き合いしている。 しかし、それをはっきり伝えてしまったら貴教がどう思うのか、どう返すのか。 どう、行動するのかがわかるほど、俺は経験豊富ではなかったのだ。 しかし、貴教は親友だ。向こうはそう思ってなくても、嘘はつきたくない。 「…そう、だよ。一応、恋人…っていう立場にいると思ってるけど…」 なんで、こんな…学校の廊下、神聖なる生徒会室の前でこんな話をしているんだろう。 頭の隅でそう思った。貴教は友人で、きっと茜との関係を知っても変わらずに友達でいてくれるものだと思いこんでいたのに。  
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