セレナーデ

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目があった。 あってしまった。 思いきりそらしても、もう遅い。 4月―…桜舞う学園の昇降口、下駄箱の前。 沢山の生徒がクラスわけ発表の紙を見ようと背伸びしていた。 昨年大丈夫だったんだから、今年も大丈夫だろうなんて、なんでそんなこと考えたんだろう。 いくらクラスが十いくつもあって、一学年で500近く生徒がいるからって、同じクラスにならないとは限らないのに。   黒髪にまぎれて、鮮やかな金髪頭がこちらに向かってくる。 逃げたい。思いきり逃げてロッカーにたてこもって(あるなら)鍵をかけたい。 しかし沢山の人に囲まれ、それ程ガタイのよくない俺はすぐに逃げ出せず、金色頭に捕まってしまった。  
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