ことのはじまり

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「おはよう ゆず。」 手から目は離さず、母はそれだけをいうと俺の方を見ることもなく作業を続ける。…完全にスルーだ。このやろう。 「あ、ゆず。」 あきらめの境地に入りかけた俺に母は話しかける。ここ数年ろくにコミュニケーションをとっていない気がするがなんの用だろう。 「おつかいに行ってきてくれない?」 …わかってる。期待なんてした俺が間違ってることくらい。しかしなんだこのむなしさは。 「今日はね、とても大切な日なの。」 「え…?」
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