当たり前すぎて…

2/4
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ
語り終えると、俺はふと気がついた。あの日何故、夏樹を待って歩き出さなかったのだろう。なぜか悔しさがこみあげ、瞳が涙で熱くなるのを覚えた。 「わかりました。とりあえず、私は夏樹さんのその後の足取りを捜します。あなたはこのまま家に帰ってください。なにか解ったら、携帯に連絡致します。」 九条は、さっきより少し真剣な顔でそういった。 俺は、知ったことは逐一教えてほしい。と言えなかった。 いや、九条の柔らかい表情とは違う、圧迫感のある空気がそれを許さず、俺は言われるまま、事務所を後にした。見上げた空は美しい夕焼けだ。image=63779606.jpg
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!