偶然は必然

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住所の場所には何の変哲もないどこにでもありそうな雑居ビルが建っていた。 ビルの中に入り、正面のエレベーターに乗り込むと目的の階数のボタンを押した。 古いつくりの建物の、古いエレベーターは少しきしむ音を出すとゆっくりと目指す階に上昇していく。 エレベーターの中は、独特の古臭い臭いが微かに鼻に感じられた。 十二階建てのびるの最上階に着くと、エレベーターはガクンと揺れて到着を知らせるチャイムが鳴るのと同時に扉が開かれた。 エレベーターを出たところに、各部屋の案内図があったので迷うことなくスムーズに1203号室を目指して歩き出した。 古ぼけた壁が建物の歴史を静かに語っているようだ。 たどり着いた1203号室の古びたスチール製の扉には 「捜し屋」 と書かれた紙が貼られていた。 臆することなく扉をノックすると扉の向こうから 「どうぞ。」 と男の声が微かに返ってきた。 何故か不安はなかった。 その声の質感が、どこかホッとする安心する感じがあったせいだろう。
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