偶然は必然

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「早速ですが、お捜しの件をお聞かせ下さい。」 ゆっくりで透き通る見た目の印象と同じ中性的な声で質問してきた。 「彼女を探してください。知り得るかぎり探したんですが、見つからないんです。彼女の両親も彼女の存在を忘れています。依頼料なら自分の財産全部出します。だからお願いします。捜しだして下さい彼女を。」 男が質問したあと一気に言葉が関をきった川のように勢いよく口からでていった。 男は同姓でもドキッとするような優しい表情で聞いていた。 「まあ、とりあえずコーヒーでも飲んで落ち着いて下さい。」 いつのまにかテーブルにはコーヒーが湯気をたててカップに準備されていた。 俺が躊躇していると、 「毒なんか入っていませんよ。」 と微笑みながら言って、いつの間にか二人分になっていたコーヒーをゆっくりと喉に流し込む。 「あなたの捜し物、捜索 お引き受け致しましょう。」 男は飲んでいたコーヒーを、テーブルの上に音を立てずに置くと同時に話出した。
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