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男はあの微笑みをたたえながらそういうと、手に持っていた名刺入れから、すうっと名刺を差し出した。
その名刺は、半透明のエンハンスホワイトに黒い文字で
「捜し屋 九条 康隆」
と書かれている。
「あっ、ありがとうございます。私は仲根まさしといいます。」
「ふうん、礼もきちんと出来ますね。」
九条は、そう言いながら立ち上がると
「報酬はお金ではありませんから、安心してください。」
と言い、自分のデスクの上から紙とペンを取ると
「あなたの彼女がいなくなる前の日の彼女の事を、覚えているかぎり書いてください。」
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