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「やめてっ!もうやめてっ!
とっくに裕平のライフは0よ!勝負はついたのよ!」
彼女が、僕を殴り続ける警官を諫めた。
「うるさいっ!邪魔をするな!」
そう言うと、警官は立ち上がり彼女に向かって拳銃を突き付けた。
「危ないっ!」
僕は慌てて彼女の前に立ちはだかった。
「邪魔すんな。お前何か臭うんだよっ!」
「決して漏らしてなどいない!」
パンッ!!
銃声が響く。
僕の胸に銃弾が命中した。
「裕平さんっ!」
彼女の声が響く。
「僕は死にましぇん…あなたがとぅきだから!」
僕は彼女に振り向いて微笑んだ。
「裕平さん…大丈夫なの!?」
心配そうに言う彼女に、僕は答えた。
「覚えてない?10年前、友達がいなくて一人寂しく遊んでた僕に君が優しく声を掛けてきてくれて、一緒におはじきで遊んでくれたじゃないか」
僕のポケットには砕け散ったおはじきがあった。
これが銃弾から守ってくれたのだ。
「そうだったの…。
あの時の男の子があなただったなんて…
そういえば、あの時からかっこよかったものね」
「思い出は砕けても僕の心は砕けないさ。
奈美…君が好きだっ!」
「私も…好きっ!!」
僕と奈美は抱き合ってキッスをした。
「おめでとう!
イケメンに美女、よっ!ナイスカッポー!
羨ましいぜ!」
警官が拍手しながら僕たちを祝福してくれている。
今日は色々あったけど、僕たちにとって最高の日になった。
季節は夏から秋になろうとしていた。
「裕平…好きよ」
「僕もだよ」
「…何か臭わない?」
「決して漏らしてなどいない!」
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