2章【病】

2/3
46人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
こうして、僕達は付き合う事になった。 毎日のようにデートを重ね、愛を深め合った。 そんなある日の事、僕達は遊園地でデートしていた。 「ラブラブカップル1枚下さい」 僕は、チケット売り場の青年に言う。 「ヒュー♪ゴキゲンだね!サービスしとくよ!」 笑顔の青年に礼を言い、僕達は遊園地に入った。 「見ろよ、あのカップル!すげえ美男美女じゃねえ?」 「やべーって!お似合い過ぎだよ!」 「マジあの男の子カッコいい!でも女も可愛いから仕方ないか」 客の注目を浴びる僕達。 奈美の可愛さと僕の空前絶後のカッコよさから言えば当然だった。 ちなみにノンフィクションです、よろしく。 「あ、あれ乗らない?バリアフリーコースター!」 「ははは! 奈美は絶叫マシーンが好きだなあ。 よし、僕の勇気を見せてやる!」 僕達は、バリアフリーコースターで大いにスリルを味わった。 「スリルあったわねー!お年寄りにも優しかったし!」 「ああ、さすが有名なバリアフリーコースター! 心臓止まるかと思ったよ。 それにしても、お年寄りに優しかったな!」 バリアフリーコースターの余韻が消えない内に、パレードの時間になった。 輝くイルミネーションに彩られたキャラクター達が、軽快な音楽に合わせて行進している。 「何か、クリスマスみたいだね」 僕が奈美に言うと、奈美は少しだけ悲しそうな顔をした。 「うちね…。すごい仏教徒だからクリスマスってやった事ないんだ。 みんなが楽しそうにしてるのを、いつも窓の外から見ていたわ…」 その奈美の悲しげな瞳を見て、僕は決心して言った。 「今年のクリスマスは、僕が最高の幸せを届ける! 今までの寂しい気持ちを全部消すような、最高のクリスマスにしてあげるよ!」 僕の言葉に、奈美の顔が輝いた。 「嬉しい…愛してるわ!裕平!」 「僕もだよ、奈美!」 奈美がいつものように背伸びして僕の唇に、自分の唇を近付ける。 だが、その唇は僕に届く事は無かった。 ドサッ! イルミネーションから漏れた明かりが照らす道に、奈美は倒れ込んだ。 「奈美…?どうしたんだ、奈美ッッッ!」
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!