46人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
こうして、僕達は付き合う事になった。
毎日のようにデートを重ね、愛を深め合った。
そんなある日の事、僕達は遊園地でデートしていた。
「ラブラブカップル1枚下さい」
僕は、チケット売り場の青年に言う。
「ヒュー♪ゴキゲンだね!サービスしとくよ!」
笑顔の青年に礼を言い、僕達は遊園地に入った。
「見ろよ、あのカップル!すげえ美男美女じゃねえ?」
「やべーって!お似合い過ぎだよ!」
「マジあの男の子カッコいい!でも女も可愛いから仕方ないか」
客の注目を浴びる僕達。
奈美の可愛さと僕の空前絶後のカッコよさから言えば当然だった。
ちなみにノンフィクションです、よろしく。
「あ、あれ乗らない?バリアフリーコースター!」
「ははは!
奈美は絶叫マシーンが好きだなあ。
よし、僕の勇気を見せてやる!」
僕達は、バリアフリーコースターで大いにスリルを味わった。
「スリルあったわねー!お年寄りにも優しかったし!」
「ああ、さすが有名なバリアフリーコースター!
心臓止まるかと思ったよ。
それにしても、お年寄りに優しかったな!」
バリアフリーコースターの余韻が消えない内に、パレードの時間になった。
輝くイルミネーションに彩られたキャラクター達が、軽快な音楽に合わせて行進している。
「何か、クリスマスみたいだね」
僕が奈美に言うと、奈美は少しだけ悲しそうな顔をした。
「うちね…。すごい仏教徒だからクリスマスってやった事ないんだ。
みんなが楽しそうにしてるのを、いつも窓の外から見ていたわ…」
その奈美の悲しげな瞳を見て、僕は決心して言った。
「今年のクリスマスは、僕が最高の幸せを届ける!
今までの寂しい気持ちを全部消すような、最高のクリスマスにしてあげるよ!」
僕の言葉に、奈美の顔が輝いた。
「嬉しい…愛してるわ!裕平!」
「僕もだよ、奈美!」
奈美がいつものように背伸びして僕の唇に、自分の唇を近付ける。
だが、その唇は僕に届く事は無かった。
ドサッ!
イルミネーションから漏れた明かりが照らす道に、奈美は倒れ込んだ。
「奈美…?どうしたんだ、奈美ッッッ!」
最初のコメントを投稿しよう!