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「残念だが、不治の病だ。
しかも全身にまんべんなくかかっている」
医者の先生の言葉に、僕は目の前がまっくらになった。
「奈美は…奈美は助かるんですか!?」
涙ながらに叫ぶ俺に、先生は悲痛そうに首を振る。
「百パー無理。
もってあと一週間だろう」
この時の僕の絶望は筆舌に尽くしがたいものがあった。
あえて例えるなら、ずっと愛してる人が自動販売機に向かって、サービスが悪いと説教してるのを見てしまったような、そんな絶望だった。
「そんな…そんなのってネェーっすよぉ!」
俺は声の限りに泣き続けた。
「アッー!」
やがて、朝になった。
「やはり…伝えるのかい?」
横で寝ていた先生が、僕に問い掛ける。
「ええ、やっぱり伝えるべきだと思うんです。
彼女の…人生ですから」
僕は、シャツを着ながら先生に言った。
「儂は、止めないよ。
後は君達の問題だ」
先生が優しく微笑む。
「ありがとうございます。
僕…たとえ一週間しか無くても精一杯愛するつもりです!」
そう言って僕はホテルを出た。
「ふっ…あいつ。
儂の若い頃にそっくりじゃけんのぉ」
先生がベッドから半身を起こし、呟く。
秋の寒空が、僕の身に…心に沁みた。
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