冒頭

2/2
前へ
/31ページ
次へ
やあ、諸君! お初にお目にかかる。 我が輩の名は『マンマミーヤ黄英』 超天才作家だ。 今回は、『秋』をテーマにした携帯小説を依頼された。 我が輩の手にかかればこんなもの五分で終わる! 後は担当が来るのを待つだけだ。 ピンポーン♪ 「黄英先生、原稿を取りに伺いました」 お?君は誰だ? いつもの担当とは違うようだが。 「サークルイベント記念という事で特別に派遣されました。杉山花子です。 今日だけ先生の担当ですよ」 おおっ!君か! 大絶賛連載中の推理小説、『裸探偵・雨宮翔』に出て来る花子君か! 「宣伝臭い事はやめて、早く原稿を下さい。 私はとっとと原稿を貰ってあっちへ戻りたいんです」 分かっているよ。 だがアレだね。君に先生と呼ばれるのもなかなかいいね。 ちょっと待ってくれたまえ。 今から君と我が輩を主人公にした、教師と生徒の禁断のラブストーリーを… 「…原稿と一緒に命も貰って行きましょうか?」 チキチキチキチキ… …こちらが原稿です。 どうぞお持ち下さい。 そしてそのカッターナイフをしまって下さい。 「分かればいいんですよ」 …何か裸探偵の時より気が短くないか? 「何か今日、イライラするんですよね」 もしかして月に一度の… 「…何か言いました?」 チキチキチキチキ… ごめんなさいごめんなさい!これが原稿です。 お納め下さい! 「分かればいいんです。 『口は出血性ショック死の門』っていいますからね。 気をつけて下さい」 …災いだよ災い! なんでそんな具体的に… 「タイトルは… 『君が残した奇跡の欠片』 まあ、まともですね」 ああ、任せておけ! 最近の携帯小説や恋愛小説を読んで研究した! 大絶賛公開中の『アロマキャンドル』よりも泣けるぞ! 「だから宣伝臭い事はやめて下さい」 間違なく涙がちょちょ切れる感動作だ! 「まあ、それは楽しみですね。 では、早速読みますよ」
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46人が本棚に入れています
本棚に追加