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これはまだ我が輩が純情なイケメン高校生で、一人称が『僕』だった頃の話…
「よお、裕平!今日遊びに行かないか?」
友人の、田中太郎が僕に声を掛ける。
「悪い!今日は用事があってさ!」
「そうだよな…。お前位かっこよければ毎日女がほっておかないもんな!
羨ましいぜイケメンはよ!」
そう言い残して、田中は去って行った。
僕の名前は『武藤裕平(むとうゆうへい)』、イケメンでしかも影があると言われ、優れ者だと町中騒ぎチャンバも走る愛されボーイだ。
だが、そんな僕にも悩みがあった。
「今日は…あの子通るかな?」
そう、僕は毎日この道を通るカワイコチャンにお熱なのさ。
通る時間、帰る方向まで全て覚えている。
この前は意を決して家まで後をつけてみた。
もう僕の恋心は炸裂寸前!
今すぐに、この太陽に長時間照らされた鉄製のマンホールのフタよりも熱い僕の恋心を伝えたいよ。
そんな事を思っているうちに、ついに来た。
僕のマイ・スイーツ(笑)ハニー!
(キタ、キター!)
はやる気持ちを押さえ、後をつける。
気分はジェームズ・ボンドだ。
(おや?家には向かわないのかな?)
彼女の行動がいつもと違っていた。
家とは反対方向に歩き、開けた丘を上り始める。
(こんなところに何の用が…?)
そう思いながら後をつけていると、彼女が不意に立ち止まった。
彼女の目の前には、一本の大きな木が清々しい日差しを浴びて、緑々と輝いていた。
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