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彼女は、こんな所に何の用があったんだろう…?
そう考えていた僕に、彼女が不意に振り向いた。
「お巡りさんっ!この人ですっ!」
木の影から警官が現れる。
いつも交番にいる警官だった。
彼女の怯えた瞳…。
誰だっ!彼女をこんなに怯えさせたのはっ!?
「お前だな。ここ最近ずっと彼女を付け回していたストーカー野郎は」
「はい!そうですっ!見てください、この気色悪い顔っ!」
…僕だった。
でも気色悪い顔はひどくない?
「ストーカー?違うっ!僕は純粋に…」
「話は署で聞こう」
…駄目だっ!
このままでは、僕はストーカーとして逮捕されてしまう。
とりあえずこの場を何とか逃げ切らなければ…
幸い、僕は空手2段の腕前だ。
警官一人くらい何とかなる。
ここを凌いで、落ち着いたら彼女に話して理解して貰おう。
そう、まずはこの警官を何とかしなければ…
僕の中の格闘家の血が騒ぎ出す。
この試合…負けるわけにはいかないっ!
「格闘家としての礼儀だ。名を名乗ろう。
僕の名前は、武藤裕平。
君の名前は?」
僕の言葉に、警官がゆっくり口を開いた。
「…べジータだ」
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