1章【出会い】

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彼女は、こんな所に何の用があったんだろう…? そう考えていた僕に、彼女が不意に振り向いた。 「お巡りさんっ!この人ですっ!」 木の影から警官が現れる。 いつも交番にいる警官だった。 彼女の怯えた瞳…。 誰だっ!彼女をこんなに怯えさせたのはっ!? 「お前だな。ここ最近ずっと彼女を付け回していたストーカー野郎は」 「はい!そうですっ!見てください、この気色悪い顔っ!」 …僕だった。 でも気色悪い顔はひどくない? 「ストーカー?違うっ!僕は純粋に…」 「話は署で聞こう」 …駄目だっ! このままでは、僕はストーカーとして逮捕されてしまう。 とりあえずこの場を何とか逃げ切らなければ… 幸い、僕は空手2段の腕前だ。 警官一人くらい何とかなる。 ここを凌いで、落ち着いたら彼女に話して理解して貰おう。 そう、まずはこの警官を何とかしなければ… 僕の中の格闘家の血が騒ぎ出す。 この試合…負けるわけにはいかないっ! 「格闘家としての礼儀だ。名を名乗ろう。 僕の名前は、武藤裕平。 君の名前は?」 僕の言葉に、警官がゆっくり口を開いた。 「…べジータだ」
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