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十数年もすれば、あたしは雌という機能が完成した。ある日、下腹部の痛みが気になっていたら、股から太股に血が垂れていることに気づいた。怪我ではなかったので戸惑っていると、人間がそれに気付き、こう言った。
「時がきた…」
成熟すれば、体にナンバーを焼き付けるのが決まりらしい。人間は3人ほどであたしを檻から引きずり出し、別の部屋へ連れていった。そこには、じゅうじゅうと煙のあがる焼き印を持っている人間がいた。
あたしはそれを見て暴れた。人間はあたしに棒切れを噛ませ、成人男性3人の力であたしの腕や足を押さえ付けた。熱気がむん、と押し寄せる焼き印を、あたしに近付ける。それを顔に押し付けた。
「あ゙ぁああぁぁぁ!!」
あたしの絶叫が響いた。あたしは、14というナンバーを頬に焼き付けた。その後はすぐにまた檻に戻されたが、1週間はそこがヒリヒリして痛かった。股から垂れる血は5日ほどで止まった。
そうしているうちに、人間はDOLLYを生産し続け、ついには全部で34匹にもなった。
製造主は、DOLLYが増えすぎた為、No1からNo10までは実験として生かし、残りは物好きな金持ちに売ろうと考えた。
「売れなかったら、きっと殺されるのね」
隣の檻のDOLLYが無表情に言った。その顔はあたしと全く同じであった。違うのは頬にある焼き印のナンバー。あたしは14、彼女は15。それだけだ。
あたし達『DOLLY』は、所詮ペットショップで売られている動物達と変わりない命なのだ。
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