第一夜

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 「今に始まった事ではない!!」  机にたたきつけられ、ばらばらになった書類  身元不明者のリストと思わしき書類の中に“ターゲット”と書いた写真が貼り付けられている。  クリスティーナ f ハインリヒ  写真の下にある名前を彼が一瞥する間に、依頼主と思わしき男は、事務所を後にした。  直後、銃声と男の悲鳴がこだました。  彼は急いで、事務所の扉を開けると銃を構え、危険に備えた。  後には、いままで怒鳴りつけていたとは思えないような表情で、男が倒れていた。  緊張の中、彼は銃を構えて柱に隠れ、臨戦態勢をとった。  時、同じくして…  真っ暗な部屋の中、女性がもがく様な声が聞こえる…いや、本当に、もがいている様だ。  彼女は、必死にロープを解こうとしていた。 ほっそりとした体に、巻きスカートと小洒落たデザインのブラウス。  彼女は、体をくねらせ、小器用に袖からナイフを掌に落としてつかみ、ロープを切断し始めた。  程なくして、ロープが切れる。  ナイフをしまいこんだその時、ドアから細い光が漏れた。  臨戦態勢をとってから、15分がたった。  周りには、エージェントと思わしき黒服の男たち。    「勝ち目は無いな」  言うが早いか、彼はポケットから何かを取り出し投げた。  黄色いガスが、投げられた何かから噴出すと、黒服たちは咽び、咳き込んだ。  見るが早いか、彼は事務所の中へ駆け込み、書類を掴み取って事務所の窓を蹴破る。  窓の下には、待ってましたとばかりに黒服たちがいるのだが、冷静に銃を構えてから下の二人を射止める。  その後、エアバックを膨らませて衝撃に耐える。  そう、彼は8階から飛び降りたのだ。
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