第一話

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「幼なじみの縁が切れるついでに告る!」 「いいのかー?」 その少年坂野和樹は 大手企業の社長の息子で 赤いパーカーのよく似合う元気な男の子でした。 「ダイジョブ、 俺には手品がある!」 その通り少年は小学生にしては珍しい程の腕の持ち主でした。 「手品と告白って関係あるか?」 目の前で肘をついているクールな親友、中村智樹 彼は二人の関係をよく知る唯一の人間でした。 和樹と智樹の二人だけがいる教室で 話はどんどん進んでいきます。 「つーか、手品、 アイツには、あんまり通用しないんだろ?」 「そうなんだよ、 長年いるからかなぁ」 和樹は机にうなだれました。 少年と少女の関係は 主従関係にありました。 少年の親の雇ったメイドの娘。 それが少年の想い人で幼なじみでした。 でもそれもお別れです。 少年はエリートの中学へ行き、少女は遠い地区の中学へと行きます。 住む家すら別々になるこの機会に 少年は告白することを決めたのです。 「結構なんだかんだで世話やかれてるし、 背もアイツと同じくらいだし、アイツに勝てるトコ、一つもねーや」 和樹はため息をつきます。 しかし、悩んだところで何も変わりません。 「ま、いいや。 今日のためにメチャクチャ練習したし!」 「そりゃ、ご苦労なこった。」 智樹は卒業証書をくるくる回して和樹をこつんと叩いた。 「なんだよ! ま、そゆわけで俺は帰る! つか迎えが来た!」 「はいはい、さようなら」 「んじゃ、中学で!」 同じ中学へと進む親友に一時の別れを告げ 少年は車に乗り家へとむかいます。
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