争乱割拠・十四

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争乱割拠・十四

毛利恭順の知らせは方々へと伝わった。 そのことを知った河野家老臣戒能通森は喜色満面となり、平岡直房を密かに呼び寄せ、 「平岡殿、ついに時はきたれり。御一門三十二将及び主だった諸将に連絡を取り、今後のことについて話したいとして集めて頂きたい。」 といって、平岡に連絡を取らさせた。その後、通森は、息子の通邑を連れて、桜の苗木のもとに行き、 「この桜の木がどれくらいもつか、今後が正念場でじゃ。踏み荒らされぬように、この土地を守らねば。」 というと、白髪頭の好々爺のような顔つきが変わった。通森は、忽那通恭と二神重成の水軍衆将兵を密かに呼び寄せた。 湯築城に参集した河野御一門三十二将らは、毛利も幕府に恭順したことで、あえて長宗我部に味方する必要なしとして、城にきていた毛利重臣平佐就之、三浦元忠、赤川元之に毛利公を通じて伝えて欲しい旨を伝えた。 だが、高峠城主石川城虎丸の名代としてきていた重臣金子元宅は、 「長宗我部公の御厚誼に際し、今更、裏切るようなことができようか。わしは、毛利のごとき腑抜け大名になぞらえることはできぬ。わしと、同意のものは高峠城に参られよ。」 というと、憮然とした表情で城を立ち退いた。
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