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街頭も少ない通りをとぼとぼと、美奈は一人で歩いていた。駅が近いのに歩いてる人は少なく、少し不気味な雰囲気がしていた。だが、今の美奈には都合がいい。一人、傷心に浸りたかったのだ。歩いていた通りから左に道があった。
そこは人しか通れないような細道で。でも、ぽつんと光が見えた。
「お店?こんなとこに?変なの…」
人なんか来なそうなところなのにわざわざ店をだしている。しかもこんな夜遅くまで。
じぃっとみつめたあと美奈はそのお店に足を踏み入れた。
「いらっしゃいませ~」
外装とは相反して店内はコンビニのようだった。女の店員さんと店長のような男がいる。
美奈は不思議に思ったが店内を見てまわることにした。
「なんかのど渇いたかも…」いつものコンビニのように飲み物コーナーを見てみた。しかし
「なにコレ?」
ペットボトルのラベルにはこう書いてあった。
"歌茶…音痴な彼にオススメ。飲めば誰もが聞き惚れる歌声になる"
ほかにも…
"スウィートティー…あまり愛のことばを言わなくなった彼にオススメ。ロマンティックな彼のことばに惚れなおすでしょう"
"ホンネのね…ホンネを聞きたいときにおすすめ。彼のホントの気持ちがわかるでしょう"
「ははっ。うそっぽーい」
「信じるか信じないかそれはお客様次第です」
「え?」
突然後ろから声がして振り返ると店長らしき男が商品を並べていた。
「わたし、次第ですか?」
買ってみるか。
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