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静かな朝を賑やかす通勤通学する人の声。
『昨日のアレ見た?』
『見た見た! めちゃくちゃ笑ったし』
『だよね~』
女子高生の会話が通りすぎていく交差点。
『…』
隼人がそこにいた。
(…あの時)
信号が点滅を始め赤に変わろうとしたとき、隼人は空を見上げた。
(…たしかに)
………………
……………………
『おい!飛び降りたぞアイツ!』
遊斗が穴の開いた金網から下を覗き込む。
『…!』
隼人も続いて下を見ると、そこには無惨に倒れるYOUの姿があった。
『…死んだ? 自分から…なんで?』
『…わかんねえ…でも、わかってんのは…』
そう…
このままでは降下を始めた無数の人工衛星によって破滅が訪れるということ。
『…』
しかし、隼人と遊斗に何ができるわけもなく、ただ絶望を待つのみだった。
『なぁ……っと?』
床に座り込む二人、最初に口を開いたのは隼人だった。
『…遊斗、渋谷遊斗…そういやお互いの事よく知らなかったよな…まあ今更だけどな…はは』
『そうだな…』
皮肉に近い笑い。
しばらく沈黙が続き、また隼人が口を開いた。
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