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『友達ってなんなのかな?』
隼人の言葉に遊斗は少し戸惑いながら答えた。
『…何だよよいきなり? ん~…何でも話し合える、そんな奴らの事言うんじゃね?』
『…そっか、じゃあ僕達ももう友達なのかな?』
そう言って見上げた空は、破滅が迫っているとは思えない程に綺麗だった。
『…かもな』
遊斗が立ち上がる。
『なあ…奇跡って信じるか?』
今度は遊斗の問掛けに隼人が戸惑う。
『奇跡?』
『奇跡は待ってるだけじゃ起きない、奇跡を起こそうと立ち上がった者だけに奇跡を起こす権利が与えられるんだ』
『誰の言葉?』
『小さい頃…親父によく言われたんだ、親父の事は嫌いだったけど…その言葉は頭から離れねえんだ』
隼人が少し笑う。
『そんな親父もお袋も…俺が』
そう言って見せた顔は後悔に満ちていた。
『渋谷…?』
『だからさ! もう後悔したくねえんだ、このまま破滅を待ってるだけなら、何か無駄なあがきでもやってみねえ?』
振り返った遊斗が満面の笑みで言った。
笑って罪が消えるわけではない。
もし奇跡が起きたなら…
どんな事をしてでも罪を償おう。
どんな罰も受けよう。
遊斗の決意だった。
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