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出会い
ミーンミーン‥…‥
蝉の鳴く声が聞こえる
今年も暑い夏だ
図書室で涼みながら外を見る
「さぁ来ぉ~い!!!」
元気な声が聞こえてくる
いつも放課後は図書室に涼みに来ている
野球のグラウンドが横にあるためぅるさくて本に集中できなぃのでみんな放課後は図書室を利用しない
自分は最近はいつも来ている
しかし本を読むためではない
ただ体を休めるためだ
ちょうど野球が始まる頃だった
『面倒くせぇ』
そう言って図書室を後にした
彼の名前は前田章人
今は高校3年生
髪はショートで目もキリっとしていて鼻も高く女受けしそうな顔をしている
凛とした顔をしているが顔に力が無くだらけている
そんな章人は友達もほとんどいない
話しかけられる程度だ
みんな彼を嫌っている
それは2ヶ月前のクラスマッチで一人だけ面倒くさいと言ってやらなかったからだ
そんな彼をみんなは避けていた
しかし彼はどうでもいいというように無視している
卒業まであと6ヶ月‥…
章人はだらだら歩いて家に着いた"バタン"
玄関を閉めた音がした途端に
「おかえりなさぁ~い」
というお母さんの声が聞こえてきた
『ただいま』
無愛想に章人は言う
そんな章人を見てニッコリとお母さんは笑う
章人の家は小さなアパートでお母さんと二人暮らしだった
「学校はどうだった?」
『別に…普通…』
いつもの質問にいつもの答えで答える
「そぅ」
お母さんはまたニッコリと笑う
章人はそれを確認した後着替えて自分の部屋にこもる
そして眠りにつく…‥
『‥ハァ‥ハァ‥』
追いつけない‥…
『ハァ‥ハァ‥ハァ』
走っているのに追いつけない…みんなは歩いているのに…‥
『ハァハァ‥』
章人は立ち止まる
『何で‥…何で追いつけないんだよぉ!!!!』"バッ!!!"
布団を突き上げて目が覚めた
汗がダラダラ出て布団にまでびっしりついている
"チュンチュン"
『…夢…‥か』
まれに見る夢だった
六時十分…‥学校に行くにはまだ早い時間だった
『少し散歩しよう‥…』
そう呟いて家を出た
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