悪夢の胎動は…

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 よく見ると広がった紙に何か書かれてる… 「…え~っ…と」 『前略 お兄様へ  ゲームすんなっつったよな?  約束通りプレステはファイナルベントね。  お兄ちゃんがお気に入りにしてた零シリーズは全作ブックオフにします。  草々』 「しまったァァァァッ!」  蘭を甘く見すぎていた。あいつなら本当にプレステをファイナルベントしかねねぇ!  零が全部ブックオフ?! 耐えらんねえよ… 「仕方ねえ……モバゲーに顔出すか…」  携帯をパチンと開き、電源ON。  いつも通りの起動画面。暗証番号入力。待受画面表示。……ん? 「メールが来てる…」  またエロサイトからの勧誘か? 知るか馬鹿たれ。こちとら毎晩毎晩蘭と一緒に甘美な桃色別天地へフライアウェイしとんじゃい。  なかなか良い肉付きでのぅ……俺の見立てでは蘭は恐らく…『93・66・89』だな。男は生まれた時から初期装備として『ぬののふく』よりも使い途のある『妄想透視・愛(Eye)』を搭載しているものだ。これは生きていく上でどんどんバージョンアップしていくもので、これが確立し始めるのは中学校辺りからが主流だ。俺は小学三年辺りからだったけど。そりゃどうでもいいか。 「誰からのメールだ?」  ………………ッ! 「まっ…まさかぁ!」  送り主は蘭だった。プレステの一件もあり、無意識ながら器用に親指だけが震えている。  プチ……プチ… 「ッ!」 『帰りにマロンブラウンのビューティーンと生春巻1kgとちくわ4袋と単2電池8本パックを買って帰るから』 「なぁんだ。脅かしやがって……ってか何でわざわざ買って帰るなんてメールを…………ん? まだスクロール出来……ッ!」 『追伸  寝てろっつったべな。私が帰るまでにモバゲーの退会手続き取っときな』  …………うっそぉん。
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