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静かな満月の夜……
まだ寒い三月の夜に俺は一人自宅の道場にいる。
月夜の晩に、一人座禅をすることが俺はとても好きだ……
この時、この場所には大切な人との思い出があるから。
とても大切な……
勇介は道場の冊子から空を見上げ昔を思い帰る
彼女との出会いは今をさかのぼること一年前、あの時の記憶は昨日のことのように覚えている。
あの日の朝、俺の両親は結婚記念日で熱海旅行に行く途中で交通事故により天国へ旅立った。
俺が15の時の出来事、生きている以上いつか別れると分かっていた、でもまさかこんな急に両親そろって死別するなんて全く予想外だったよ……
原因は両親の乗る車の整備不良と警察からは聞かされた。
確かに父さんはあまり車に乗らなかったから……
そんな父さんは剣道の師範、母親は普通の専業主婦をしている至って普通の家族だったと思う。
そんな両親に育てられた俺はやっぱり普通の学生だと思う、でも……両親との死別により天涯孤独の身になってしまった。
両親の死を聞かされた時、涙は全く流れなかったよ……
両親が嫌いだった訳じゃない。
ただ……俺はあの時、心が欠けていたから
「父さんと母さんが……?」
病院のベッドに横たわる両親の顔を見てもあの時はまだ信じられなかった。
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