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そして――毎回この場面から夢が始まる。
広間にいて。
自分はそこに笑いながら立っていて。
大鎌を持った少年が目の前にいて。
そこで、対峙しているのだ。
その光景を『彼』の身体――目線から見られるのに、自分の意思で動く事ができない。言いたい事を言えない。
意識が身体に入っていても、何もできないのである。
言い変えると、ただただ流れに身を任せる事しかできない。
この夢の終わり。
それもまた、毎回同じだった。
『早く死ねよ、ばあぁかッ!!』
『彼』は言う。勿論彼の意思ではない。
大鎌を持つ少年は、再び笑い始めた『彼』を黙って見ている。
だが、次の瞬間。少年は『死ね』や『殺してやる』といった呪いの言葉を吐きながら、『彼』の胸元を狙って大鎌の刃を突き立てた。
同時に、『彼』の首を力いっぱい締め上げる。
何も言えないのに、何もできないのに――痛みだけは、彼に伝わっていく。
血を噴出させながら、痛む胸。
痛々しい音を立てながら、困難になっていく呼吸、そして首の骨が折れる確かな感覚。
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