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有飛はこの春、高校に入学したばかりだった。友達と呼べる存在も数人出来、これと言ったトラブルもなく、至って普通の生活を送っている。
少なくとも、表面上では。
「……もういいや」
力なく呟き、有飛は居間を出て洗面所へと向かった。
半分以上残したトーストを見て母親が文句を言っていたが、それが有飛の耳に入る事はない。
「ふう……」
洗面所にて顔を洗った有飛は、ふと鏡に映った自分を凝視する。
日本人なのに、何故か青みがかった黒髪。
日本人なのに、何故か青みがかった目。
勿論、親類に外国人など一人もいない。根っからの日本人のはずなのだ。
有飛自身幾度も疑問に思ったが、周りには気のせいだと言われた為――ずっとその疑問を押し込んでいたのである。
「何で青いんだろうな……。やっぱり、単に俺の色彩感覚がおかしいだけなのか?」
だが最近――高校に入学した辺りから、急にまた気になり出したのだ。
もしかしたら、自分が幼少からずっと、一日足りとも欠かさず見ている夢と何か関係があるのだろうか?
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