序章(一)-転生、再誕-

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「俺はそいつが羨ましかった。才能に嫉妬してたんだ。だから、仲間を巻き込んでそいつを陥れようとした。その結果俺は殺された。陥れようとした相手に。……これが自業自得って奴なんだよな、やっぱり」 『告白』と表すには重すぎて、『軽口話』と表すには無理があり、『贖罪(しょくざい)』と表すには引換にすべき金品が足りず、これは『懺悔(ざんげ)』と表すのが適当だ。 彼は自嘲気味に、自身の罪を女性へと述べる。 「確かに貴方が殺されるに至った過程は、貴方の自業自得と言っていいでしょう。ですが、転生に過程は必要ないのです。問題は、『殺されたか』『殺されていないか』の違いなんですから」 悲しい表情をしている彼に、女性は諭すように言った。 だが、それでも、彼の心は後悔の念に苛(さいな)まれている。 『懺悔』をしても、彼の心に罪悪感を留まらせる事柄とは、如何なるものだろうか。 俯いている彼を見て、女性も女性で戸惑いを見せている。 但し女性の場合は、自分が彼に嫌な事を言ってしまったのではないか、というそれなのだが。
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