無意識恐怖

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中学校の職員室に、生徒指導教師の怒鳴り声が響く。有飛はさりげなく耳を指で塞ぎながら、それを聞き流した。 「全く、これだから二年生は『たるんでる』と言われるんだ! たかだか遅刻なんてタカくくってると、内申に響くんだぞ! お前は分かってるのか、英!」 「寝坊は仕方ないじゃないすか。俺だって遅刻したくてしてるん――」 弁解を始めた有飛に、教師は激怒したのか乱暴に机を叩く。有飛はその音に驚き、口を閉ざして身体をびくつかせた。職員室で雑談をしていた他の教師らも、有飛と同じようなリアクションをしている。 「言い訳をするんじゃない!! お前には罰として、裏庭の花壇の草むしりをして貰う」 教師の言葉に、有飛は「はあ!?」と言いたくなるのを必死に抑え込んだ。 何故、有飛がそこまで草むしりを嫌がっているのか。 その理由は―― 「それあんまりじゃないすか。裏庭の花壇って、『あの』花壇っすよね? 何年か前からずっと手入れされてないという、噂の……」 恐る恐る、といった様子で有飛は問いかける。
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