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近寄りながら教師は尋ねるが、それが有飛の耳に入る事はない。
それどころか、教師の言葉も周囲にあるあらゆるモノや環境を――
全部。全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部、拒絶するかのように。叫んだ。
「うわあああぁあぁあああぁぁあああッッ!!」
「!? 英、一体どうしたんだ!? 大丈夫か?」
すかさず気遣う教師だったが、やはり有飛には届かない。
顔を真っ青にし、有飛はそのまま裏庭から走り去っていく。
教師は追わなかった。いや、あまりにも突然の出来事だった為、追えなかったのだ。
ただ戸惑いの表情で立ち尽くすのみ……。
今自分がどこを走っているかだなんて、どのくらい走ったかだなんて、有飛にはもうどうでもよかった。
とにかく逃げたい。
恐怖から。無意識に深層心理に働きかける恐怖から。
「……何で、何で、何でこんなに……怖いんだよ……?」
自問してみたが、答えがでない。
出るとも思えない。
だが自問せずにはいられない。
そして、この疑問は未だに解決出来ていない……。
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