癒えない傷

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目をまた閉じる。 そうして、彼女の意識は十五年前へと戻って行くのだった……。 ××××××× 豪華なシャンデリアが放つ眩しい光に見下ろされ、彼女こと――有飛詠(アルトビ エイ)とそのチームメイトを合わせた三人が、死神界最上の位に立つ存在――終夜(シュウヤ)の前で呆然と立ち尽くす。 三人は愕然としながらも、声を揃えて(殆ど偶然だった)終夜から伝えられた内容を、復唱するように言った。 「慈英が……殺された!?」 「そうだ。知らされて、私が駆け付けた時にはもう――」 悲しい、という中にも多少怒りが込もった口調で終夜は言う。 死人がでたというのに、何故終夜の口調には怒りが込もっているのだろう。 詠――のみならず、恐らくは後の二人も――はそう思わずにはいられなかった。 「終夜様……何故、誰に慈英は殺されたのですか!? 一体誰がそんな事をッ!」 詠の左隣に立っている彼女のチームメイトの一人、有飛刑(アルトビ ケイ)が悲痛な表情をして終夜に尋ねる。 それに同調し、詠の右隣にいた有飛逢(アルトビ アイ)は何度も頷いた。
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