癒えない傷

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それらは、全て。 自分達のチームメイト――仲間である、有飛慈英(アルトビ ジェイ)の突然の死を悲しんでいるが故に。 終夜は鮮血を思わせる真紅の目で三人を見据えると、口を開く。 「……お前らが禁忌を侵して、陥れた者によってな。既に話は聞いている。全てお前らの自業自得だ。禁忌を侵した者達が、そんな被害者面をしていいと――許されるとでも思っていたのか?」 正論だった。 自分達は、確かに禁じられた領域へ踏み込み他者を陥れたのだ。 それを差し置いて今更「誰がこんな事を」だなんて、虫がいいにも程がある。 言葉も出ぬまま俯く三人。終夜は冷たい物言いで更に話し続ける。 「鍵をかけた場所(スペース)に侵入し魔術書を持ち出した挙句、それに記されていた禁忌魔術で他者を陥れようとしたお前らに、罰を与える。――通常、期限をニ年としているのを、お前らにはそれをニヶ月短縮し一年八ヶ月としよう。そして、今日から丸一ヶ月間一切の仕事を禁ずる」 終夜から下された罰は、あまりに酷なものだった。それでも、裁かれるよりは。
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