360人が本棚に入れています
本棚に追加
遥かに軽いのである。裁かれ、地獄に堕とされるよりも。
一つ目の理由は――それだ。
罪を犯した事。
禁を侵した事。
大罪といってもいい。
そしてもう一つの理由が――
「……罰を下して置いてなんだが、特別に許可してやってもいい。――お前らのチームメイト、慈英との対面を」
沈黙の中、終夜はそんな話を持ち出した。そこに一体何の意図があったかは分からないが、詠を始めとした三人がそれに応じないはずはない。
三人は互いに顔――憂いある雰囲気は健在であった――を見合わせ、頷くと刑が言う。
「お願い致します……終夜様。チームメイト――仲間として、最後に慈英の姿を見届けたいです!」
「よろしい。……ではこっちへ来い、仲間と――慈英と対面させてやる。しかと受け止めるがよい、お前らの罪を。そして事実を」
――『現実』を。
終夜はそう言って、三人の横を通り過ぎ――広間の扉の前に立つ。
三人もそれに続き、扉を開けた終夜の後を着いて行った。三人と終夜はその間、終始無言であった。
最初のコメントを投稿しよう!