癒えない傷

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分かってしまう時点で、死を受け入れたという事になるからだ。だがそんな詠の心中を終夜が読み取れる筈もなく、終夜は言う。 「まず出血多量だな。大鎌で胸を刺された事が原因だ。そしてもう一つ、さっきも言ったが首を折られた事。余程苦痛だったのだろう――まあ、当然だが――、目が見開かれ――」 「やめて下さい! もう……もう、やめて下さい! そんな事聞きたくありませんッ!!」 狭い室内に、終夜の言葉を遮る詠の叫び声が響いた。 詠の顔は悲しみと絶望で真っ青になり、身体の震えは収まる事なく、綺麗な目からは涙をとめどなく溢れさせている。 三人は戸惑ったような表情で、泣きながらしゃがみ込む詠に視線を移した。 ただ一心に泣き続ける詠に呆れたのか、ため息をつく終夜。 「……少し、刺激が強すぎたか。まあいい、これはあくまで私の気まぐれみたいなものだ。しかし――これがお前らの犯した罪の結果である事を、決して忘れるな。それと――詠。『死神』に余計な感情はいらない。お前はあまりにもセンチメンタル過ぎる」
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